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【傾向と対策】東京大学の世界史は、近年、大論述・小論述・一問一答の3題形式 で固定化している。ここでは、2017年から1990年までの大論述を対象に、 その傾向と対策について述べる。 ※1989年以前の問題は字数や形式にばらつきがあり、資料文形式・小問形式など 近年では見られない形式のものが含まれるため、対象外とした。 管理人個人の意見としては、世界史も日本史同様、資料文形式にした方が良いと思う。 なぜなら、資料文を提示することで受験生に題意を推測する機会を与え、 より洗練された答案を作成することを可能にすると考えるからである。 それはともかく、まず、傾向についてである。 東京大学の世界史の出題傾向には、大きく分けて以下の4つの特徴がある。 第一に、制限文字数が多い。ここ4年600字を制限文字数とする問題が連続 しており来年度も同程度の記述量が要求されると思われる。 96年度から02年度までは、01年度を除いて450字を制限文字数とする 問題が連続し、03年度から07年度までは、04年度を除いて 510字を制限文字数とする問題が連続していることから、 全体として制限文字数は増加傾向にあると言える。 ちなみに90年度から95年度までは600字を制限文字数とする問題が連続しており、 80年度の650字、78年度の735字など、過去には今以上に多くの 記述を要求する問題が出題されたこともある。 管理人は現役時代に20行の問題を22行で解答してしまった (解答欄は22行ある)が、開示得点から推測するに、 大幅な減点は無かったようである。制限文字数について気にしすぎる必要は無い。 第二に、問題要求が明確である。これについては後で詳しく触れるが、 基本的に問題は主題と副題で構成されており、後者はリード文中に書かれていることが 多い。従って、問題文を注意深く読むことが必要である。 ただし、副題にとらわれ過ぎて主題を疎かにしてはならない。あくまで主題に答える ことを意識して答案を作成するべきであり、副題について適当な解答が浮かばない時は、 思い切ってそれを無視して、主題に絞った答案を作成するという決断も重要である。 年度によっては複数の主題が並列されている場合もある。 具体的には、02年度、07年度などがこれに当てはまる。 指定語句については、90年度、92年度を除いて全ての年度に設定されている。 ちなみに、85年度のように語句は提示されているが、使用義務は無いという場合 もある。それはともかく、指定語句が解答作成のうえで大きなヒントとなっている ことは間違いない。指定語句から関連語句を想起してフローチャートを作成する のが、取り組み易くかつ手堅く得点の狙える解答方法であろう。 ただし、指定語句にとらわれ過ぎて主題を疎かにしてはならない。指定語句が あるからといって必ずしもその用語を説明する必要はなく、あくまで主題を説明 するための道具として扱うべきであり、それ自体は論述の骨子にはなり得ない。 使い方の分からない指定語句については、適当に文章中で使用するのが妥当である。 採点は加点法と思われるので、間違いについては無視されるが、減点はされない。 逆に、指定語句を抜かせば減点される可能性は高い。 最後に「〇〇は使えませんでした。」とする方法もあり、こちらの方が字数も節約 できるが、それを書いたからといって減点を免れるとは断言できない。 採点官の印象を悪くする可能性もあり、避けておくのが無難である。 第三に、論述対象となる期間、地域が広い場合が多い。 これは世界史の全体像から歴史事象を把握する能力が要求されていることを 示しており、近年のグローバルヒストリーの潮流を反映したものと言える。 その傾向は問題文の中に顕著である。具体的には、 16年度の「世界史全体の転換点」「現代史の分岐点」、10年度の 「世界史における役割」、08年度の「世界史の大きなうねり」 07年度の「世界の大多数の地域」、04年度の「世界経済の一体化」 03年度の「世界の一体化」、00年度の「歴史的意義」 99年度の「世界史の大きな流れ」「広い視野」、97年度の「現代世界の紛争の原点」 96年度の「現代世界の形成」、93年度の「世界史の流れに大きな影響」 などがそれにあたる。 また、地域、国を限定して長い期間を論述させるいわゆる「特定地域の通史」 も出題されている。具体的には、10年度のオランダ、01年度のエジプト、 99年度のイベリア半島などである。対象地域の候補を他にもいくつか挙げれば、 バルカン半島・アフガニスタン・インド・シリア・シチリア・ポーランド などが考えられる。確認しておくと良い。 また、近年、日本史と世界史を「歴史総合」なる科目に統合しようとする動き があることから、日本史と絡めた出題がされることも予想される。 世界史の中における日本と世界との関わりについても学習しておくことが望ましい。 受験生は、まさに「広い視野」を持って学習にあたることが不可欠であると 言えるだろう。 第四に、問題文の表現に細心の注意を払っている。例えば、 17年度ではあえて「中国」という言葉を使わず、「黄河・長江流域」としている。 また、17年度の「古代帝国」、15年度の「モンゴル時代」、96年度の 「パクス=ブリタニカ」のように、呼称について議論のある表現を 「 」つきで表現していることが多い。この「 」は、「いわゆる」と同義である。 最新版の教科書は近年の研究動向を反映して表現が改訂されている場合が多い (詳しくは高校教科書比較へ)ので、 受験生は手元の教科書で正しい表現の習得に努めるべきである。 その他の特徴としては、92年度や76年度のように図表が使われる 場合もあることなどが挙げられる。基本的な対処法は文章が与えられた場合と 変わらない。 次に、対策についてである。これについては次ページで述べる。 次へ |